「ベトナム戦争をテーマにした映画はたくさんあるけれど、どれを見ればいいのかわからない・・・」
「ベトナム戦争って、どういう戦争だったの!?歴史的な背景を知りたい!!」
テレビドラマや映画で取り上げられることも多いベトナム戦争―
どんな戦争だったのか、その背景について詳しく知らない人も多いのではないでしょうか?
なぜなら歴史の教科書では簡単にしか紹介されておらず、映画やドラマではその一部をフォーカスした場合が多いから。
どんな背景でどんな結果になったのか、全体像をつかむのはハードルが高いですよね。
例えば、
- そもそもなぜベトナム戦争が起こったのか?
- なぜアメリカが負けることになったのか?
などなど—
ベトナム戦争はアメリカの歴史にも深い傷跡を残した、重要な歴史テーマです。
だからこそその背景や実際の雰囲気など、いろいろな観点でより深く理解したいですよね。
そんなときには映画やドラマを通して、歴史の流れや当時の雰囲気を楽しむことがとても大切です。
今回はベトナム戦争をテーマにしたおすすめの映画10選をご紹介します。
作品だけではわからないベトナム戦争の背景や流れも合わせて詳しく解説します!
ぜひ最後までご覧くださいね。
ベトナム戦争を扱ったおすすめの映画10選

映画レビューサイトの評価が高いものを集計し、ベトナム戦争をテーマにしたおすすめの作品10選をまとめました。
動画配信サービスで鑑賞することができる映画を中心にピックアップしています。
タイトル | 公開年 | 監督 | 時間数(分) |
---|---|---|---|
地獄の黙示録 | 1979 | フランシス・フォード・コッポラ | 153 |
ディア・ハンター | 1978 | マイケル・チミノ | 183 |
プラトーン | 1986 | オリバー・ストーン | 120 |
フルメタル・ジャケット | 1987 | スタンリー・キューブリック | 117 |
ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 | 2017 | スティーヴン・スピルバーグ | 116 |
グッドモーニング、ベトナム | 1987 | バリー・レヴィンソン | 120 |
戦場からの脱出 | 2006 | ヴェルナー・ヘルツォーク | 125 |
7月4日に生まれて | 1989 | オリバー・ストーン | 145 |
ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実 | 2019 | トッド・ロビンソン | 116 |
ザ・ファイブ・ブラッズ | 2020 | スパイク・リー | 155 |
地獄の黙示録 ファイナル・カット
タイトル | 地獄の黙示録 ファイナル・カット | ||
原題 | Apocalypse Now | ||
公開年 | 1979年 | ||
制作国 | アメリカ | ||
時間 | 174分 | ||
監督 | フランシス・フォード・コッポラ | ||
出演 | マーロン・ブランド、マーティン・シーン、デニス・ホッパー、ロバート・デュヴァル、フレデリック・フォレスト、アルバート・ホール、他 | ||
動画配信サービス | Amazon Prime/U-NEXT | ||
レビューサイト 評価 | 総合評価 | 84.0 | |
国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 3.97 | |
Filmarks | 4.0 | ||
Yahoo!映画 | 4.0 | ||
映画.com | 3.9 | ||
海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 88.8 | |
IMDb | 8.4 | ||
METASCORE Metacritic | 92 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 8.8 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 93 | ||
Audience Score RottenTomatoes | 91 |
ベトナム戦争後期の戦場―
ウィラード大尉はアメリカ軍上層部から、元特殊部隊隊長のカーツ大佐抹殺指令を受けます。
カーツ大佐は命令違反により失踪し、カンボジア奥地で自らの王国を築いているとのこと。
道中、ウィラード大尉はアメリカ軍による暴力や戦争の狂気を数々目撃します。
やがてカーツ大佐と出会ったウィラード大尉はその思想に触れることになり・・・。
なぜアメリカがベトナム戦争で苦戦したのか、なぜ狂気が繰り返されるのか・・・。
カーツ大佐の言葉には、誰も直視しなかった真実が語られるのです。

ディア・ハンター
タイトル | ディア・ハンター | ||
原題 | The Deer Hunter | ||
公開年 | 1978年 | ||
制作国 | アメリカ | ||
時間 | 183分 | ||
監督 | マイケル・チミノ | ||
出演 | ロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケン、ジョン・カザール、ジョン・サヴェージ、メリル・ストリープ、他 | ||
動画配信サービス | Amazon Prime/U-NEXT | ||
レビューサイト 評価 | 総合評価 | 83.23 | |
国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 4.03 | |
Filmarks | 4.0 | ||
Yahoo!映画 | 4.2 | ||
映画.com | 3.9 | ||
海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 85.8 | |
IMDb | 8.1 | ||
METASCORE Metacritic | 90 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 8.1 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 86 | ||
Audience Score RottenTomatoes | 91 |
1967年、アメリカの田舎町。
同じ町で住むロシア系移民のマイク、ニック、スティーブンは皆で鹿狩りに出かける仲間でした。
やがて彼らにもベトナム戦争へ出征することになります。
戦地で3人とも捕虜となり、そこでベトコンからロシアンルーレットを強要され―
何とか生き延びて脱出しますが、その経験が3人の運命をそれぞれ大きく変えていくことになります。
ベトナムで「いのち」のやりとりを目の当たりにした人間がどう変わっていくのか。
美しいCAVATINAの旋律とともに、哀しい現実を描いた名作です。

プラトーン
タイトル | プラトーン | ||
原題 | PLATOON | ||
公開年 | 1986年 | ||
制作国 | アメリカ | ||
時間 | 120分 | ||
監督 | オリヴァー・ストーン | ||
出演 | チャーリー・シーン、トム・ベレンジャー、ウィレム・デフォー、ケヴィン・ディロン、フォレスト・ウィテカー、ジョン・C・マッギンリー、フランチェスコ・クイン、デイル・ダイ、ジョニー・デップ、キース・デイヴィッド、コーリー・グローヴァー、マーク・モーゼス、トニー・トッド、他 | ||
動画配信サービス | Amazon Prime/U-NEXT | ||
レビューサイト 評価 | 総合評価 | 82.6 | |
国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 3.9 | |
Filmarks | 3.7 | ||
Yahoo!映画 | 4.1 | ||
映画.com | 3.9 | ||
海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 87.2 | |
IMDb | 8.1 | ||
METASCORE Metacritic | 92 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 8.1 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 89 | ||
Audience Score RottenTomatoes | 93 |
ベトナム帰還兵であるオリバー・ストーン監督の「ベトナム戦争3部作」の一つ。
監督本人の実体験をもとに、ベトナム民間人への暴力、米軍内で広まる腐敗などリアルなベトナム戦争を描いた作品です。
名門大学生のクリスは、ベトナムに徴兵されていく同世代の若者の多くが、黒人や貧しい境遇であることに怒りを感じ志願します。
そこで最前線の小隊に配属され、過酷なベトナム戦争の現実を目のあたりにします。
見えない敵との戦いだけでなく、小隊内の対立が深まりとんでもない事態に対面することになります。
フルメタル・ジャケット
タイトル | フルメタル・ジャケット | ||
原題 | Full Metal Jacket | ||
公開年 | 1987年 | ||
制作国 | アメリカ | ||
時間 | 117分 | ||
監督 | スタンリー・キューブリック | ||
出演 | マシュー・モディーン、ヴィンセント・ドノフリオ、R・リー・アーメイ、アーリス・ハワード、アダム・ボールドウィン、ドリアン・ヘアウッド、ケビン・メージャー・ハワード、エド・オロス、他 | ||
動画配信サービス | Amazon Prime/U-NEXT | ||
レビューサイト 評価 | 総合評価 | 81.13 | |
国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 3.83 | |
Filmarks | 3.8 | ||
Yahoo!映画 | 3.9 | ||
映画.com | 3.8 | ||
海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 85.6 | |
IMDb | 8.2 | ||
METASCORE Metacritic | 78 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 8.4 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 90 | ||
Audience Score RottenTomatoes | 94 |
ストーリーは2部構成になっており、前半は海兵隊訓練所で新兵が受ける過酷な訓練、後半はベトナム戦地での様子が描かれます。
訓練シーンのハートマン軍曹のマシンガンのような罵倒シーンは超有名。
監督自身が日本語字幕のチェックを行い翻訳者も交代させたとか。
後半のストーリーでは、アメリカ軍が苦しんだ「ゲリラ戦」とはどういうものかがリアルに描かれています。
ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
タイトル | ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 | ||
原題 | The Post | ||
公開年 | 2017年 | ||
制作国 | アメリカ | ||
時間 | 116分 | ||
監督 | スティーヴン・スピルバーグ | ||
出演 | メリル・ストリープ、トム・ハンクス、サラ・ポールソン、ボブ・オデンカーク、トレイシー・レッツ、ブラッドリー・ウィットフォード、ブルース・グリーンウッド、マシュー・リース、他 | ||
動画配信サービス | Amazon Prime/U-NEXT | ||
レビューサイト 評価 | 総合評価 | 76.37 | |
国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 3.77 | |
Filmarks | 3.8 | ||
Yahoo!映画 | 3.8 | ||
映画.com | 3.7 | ||
海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 77.4 | |
IMDb | 7.2 | ||
METASCORE Metacritic | 83 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 7.0 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 88 | ||
Audience Score RottenTomatoes | 74 |
他の映画とは色合いが異なり、戦場ではなくアメリカ国内でのジャーナリズムについて取り上げた作品。
ベトナム戦争がなぜ泥沼化、長期化したのか?
その原因が克明に記載された内部告発文書を手にしたワシントン・ポスト紙が、数々の妨害に立ち向かい、真実を明らかにしていきます。
やがてそれはアメリカ全土を動かし、戦争撤退に影響を及ぼすまでになっていくのです。

グッドモーニング、ベトナム
タイトル | グッドモーニング、ベトナム | ||
原題 | Good Morning, Vietnam | ||
公開年 | 1987年 | ||
制作国 | アメリカ | ||
時間 | 120分 | ||
監督 | バリー・レヴィンソン | ||
出演 | ロビン・ウィリアムズ、フォレスト・ウィテカー、ドゥング・タン・トラン、他 | ||
動画配信サービス | U-NEXT/Desney+ | ||
レビューサイト 評価 | 総合評価 | 75.03 | |
国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 3.63 | |
Filmarks | 3.7 | ||
Yahoo!映画 | 3.7 | ||
映画.com | 3.5 | ||
海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 77.4 | |
IMDb | 7.3 | ||
METASCORE Metacritic | 67 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 7.5 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 90 | ||
Audience Score RottenTomatoes | 82 |
1965年のサイゴン。
アメリカ兵の士気高揚のために1人の空軍兵DJ、エイドリアン・クロンナウアが送り込まれます。
彼は得意のマシンガントークで型破りのラジオ放送を行い、アメリカ兵たちの間で一躍人気者に。
彼は町で見かけたベトナム人少女に一目ぼれをし、彼の兄トゥアンをはじめ現地ベトナム人との交流を深めていきます。
しかし、やがて平和だったサイゴンの町にも不穏な影が差し始め―
やがて彼は、南ベトナムを助けに来たはずのアメリカ人が、現地ベトナム人にとっては全く違う見られ方をしていたことを知るのです。
他の戦争ものと違い、ベトナム戦争の悲哀と皮肉をとてもよく描いた作品です。

戦場からの脱出
タイトル | 戦場からの脱出 | ||
原題 | RESCUE DAWN | ||
公開年 | 2006年 | ||
制作国 | アメリカ | ||
時間 | 125分 | ||
監督 | ヴェルナー・ヘルツォーク | ||
出演 | クリスチャン・ベール、スティーヴ・ザーン、ジェレミー・デイヴィス、他 | ||
動画配信サービス | U-NEXT | ||
レビューサイト 評価 | 総合評価 | 74.57 | |
国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 3.57 | |
Filmarks | 3.4 | ||
Yahoo!映画 | 3.3 | ||
映画.com | 4.0 | ||
海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 77.8 | |
IMDb | 7.3 | ||
METASCORE Metacritic | 77 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 7.4 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 90 | ||
Audience Score RottenTomatoes | 76 |
ベトナム戦争で捕虜となったディーター・デングラー中尉の実話をもとにした作品です。
1965年、極秘任務により飛行中だったディーターはベトナム兵により撃墜され、捕虜収容所に連行されます。
そこには何年も前に捕虜となった仲間たちがいて、食事もろくに与えられていない過酷な状況を目の当たりにします。
ディーターは、すでにあきらめている仲間たちを励まし、このジャングル奥地の収容所からの脱出を試みます。

7月4日に生まれて
タイトル | 7月4日に生まれて | ||
原題 | Born on the fourth of july | ||
公開年 | 1989年 | ||
制作国 | アメリカ | ||
時間 | 145分 | ||
監督 | オリヴァー・ストーン | ||
出演 | トム・クルーズ、キーラ・セジウィック、レイモンド・J・バリー、ジェリー・レヴィン、フランク・ホエーリー、ウィレム・デフォー、他 | ||
動画配信サービス | AmazonPrime/U-NEXT | ||
レビューサイト 評価 | 総合評価 | 73.4 | |
国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 3.5 | |
Filmarks | 3.5 | ||
Yahoo!映画 | 3.5 | ||
映画.com | 3.5 | ||
海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 76.8 | |
IMDb | 7.2 | ||
METASCORE Metacritic | 75 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 7.7 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 84 | ||
Audience Score RottenTomatoes | 76 |
オリバー・ストーン監督の「ベトナム戦争3部作」の第2作目の作品です。
本作品は、ベトナムの戦場で負傷し、障害を負ったベトナム帰還兵のその後にフォーカスを当てた作品になっています。
トム・クルーズは役作りのために約1年間も車いすで生活したのだとか。
実際の反戦活動家の自伝をもとにしており、当時のアメリカ社会ではベトナム帰還兵はどう見られ、扱われていたのかがよくわかります。

ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実
タイトル | ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実 | ||
原題 | The Last Full Measure | ||
公開年 | 2019年 | ||
制作国 | アメリカ | ||
時間 | 116分 | ||
監督 | トッド・ロビンソン | ||
出演 | セバスチャン・スタン、クリストファー・プラマー、ウィリアム・ハート、エド・ハリス、サミュエル・L・ジャクソン、他 | ||
動画配信サービス | AmazonPrime/U-NEXT/DMM | ||
レビューサイト 評価 | 総合評価 | 72.83 | |
国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 3.83 | |
Filmarks | 3.8 | ||
Yahoo!映画 | 3.9 | ||
映画.com | 3.8 | ||
海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 69.0 | |
IMDb | 6.8 | ||
METASCORE Metacritic | 51 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 6.8 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 62 | ||
Audience Score RottenTomatoes | 96 |
1999年、アメリカ空軍省の官僚であるハフマンは、30年以上も申請され続けたある兵士への名誉勲章授与の調査を行うことになります。
最初は仕事に後ろ向きでしたが、当時の退役軍人の証言を集めるうちに、名誉勲章を拒み続けたある陰謀があることに気づきます。
なぜ30年以上もあきらめずに名誉勲章授与の申請がされ続け、ベトナム帰還兵たちにとってどんな意味を持つのか?
現代になってこそわかる、当時のベトナム帰還兵たちの想いに迫った作品です。
ザ・ファイブ・ブラッズ
タイトル | ザ・ファイブ・ブラッズ | ||
原題 | Da 5 Bloods | ||
公開年 | 2020年 | ||
制作国 | アメリカ | ||
時間 | 155分 | ||
監督 | スパイク・リー | ||
出演 | デルロイ・リンドー、ジョナサン・メイジャーズ、クラーク・ピータース、ノーム・ルイス、イザイア・ウィットロック・Jr、チャドウィック・ボーズマン、他 | ||
動画配信サービス | Netflix | ||
レビューサイト 評価 | 総合評価 | 71.0 | |
国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 3.6 | |
Filmarks | 3.8 | ||
Yahoo!映画 | 3.5 | ||
映画.com | 3.5 | ||
海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 70.0 | |
IMDb | 6.5 | ||
METASCORE Metacritic | 82 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 5.8 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 92 | ||
Audience Score RottenTomatoes | 53 |
「数多くの黒人がベトナム戦争に従事していたにも関わらず、彼らに焦点が当てた作品がほとんどない」という監督の問題意識から撮られた作品です。
ベトナム帰還兵の4人組は、当時現地で戦死した隊長の遺骨と一緒に隠した埋蔵金を回収するために再度ベトナムを訪れます。
ジャングルの奥地に再度踏み込みながら、ベトナム戦争が4人それぞれにどのような爪痕を残したのかにも向き合うこととなります。
また、そこで帰還兵自身だけではなく、現地ベトナムにもいまだ戦争の影響が強く残っていることを目の当たりにするのです。
「ザ・ファイブ・ブラッズ」のレビュー記事はこちら

ベトナム戦争とは?

ベトナム戦争は、20世紀の中頃(1954年頃~1975年)に起こった戦争で、ベトナム民主共和国(北ベトナム)とベトナム共和国(南ベトナム)の間で行われました。
単にアジアの一国での争いでなく、「資本主義」対「共産主義」の代理戦争という側面があり、長期化・泥沼化していきました。
共産主義国家を増やしたいソ連・中国は北ベトナムを支援。
一方、共産主義の拡大を防ぎたいアメリカは南ベトナムを支援、さらには直接軍事介入をしていきます。
また、メディアによって世界中に映像が届けられた初めての戦争であり、反戦運動や世界中の人々の意識にも大きな影響を及ぼした世界史上とても重要な出来事と言えます。
いったいどのような背景で戦争がはじまり、世界にどのような影響を与えたのでしょうか?
ベトナム戦争にまつわる年表
年 | 月 | 出来事 |
---|---|---|
1887年 | フランス領インドシナ成立 | |
1940年 | 日本軍が進駐 | |
1945年 | 8月 | ベトナム八月革命によってベトナム民主共和国が成立。ホー・チ・ミンが社会主義国家を創設。 |
1946年 | インドシナ戦争開始。フランスとの独立戦争。 | |
1954年 | 7月 | ジュネーブ協定締結によってベトナムを南北に分割。北は社会主義、南はフランスの傀儡国家に。 |
1960年 | 12月 | 南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)の設立。北ベトナムが南ベトナム政府軍へ武力攻撃を始める。 |
1964年 | 8月 | トンキン湾事件 |
1965年 | アメリカ軍による北爆開始、海兵隊上陸。アメリカの本格介入の始まり。 | |
1968年 | 1月 | テト攻勢。南ベトナム全土でベトコンが大規模反攻。 |
3月 | ソンミ村虐殺事件 | |
1969年 | 7月 | ニクソン大統領アメリカ軍の段階的撤退を宣言 |
9月 | ホー・チ・ミン死去 | |
1971年 | 6月 | ペンタゴン・ペーパーズ暴露事件 |
1972年 | 2月 | ニクソン訪中 |
1973年 | 1月 | ベトナム和平協定(パリ協定)調停 |
1973年 | 3月 | 戦争終結宣言。アメリカ軍がベトナムから撤兵。 |
1975年 | 4月 | 30日 サイゴン陥落。ベトナム戦争終結、南北統一。 |
歴史的背景
フランスの植民地支配から日本支配まで(19世紀~1945年)
19世紀以降、ベトナムは長らくフランスの植民地支配下にありました。
ヨーロッパの帝国がアジア諸国を植民地にしていた時代です。
やがて第二次世界大戦が勃発すると、フランスの力が弱まります。
1940年以降は代わりに日本が進出をはじめ、ベトナムを支配するようになります。
戦後からインドシナ戦争まで(1945~1954)
日本の敗戦によって、ベトナム国内では独立の機運が高まります。
終戦直後のベトナム八月革命を経て、ベトナム建国の父、ホー・チ・ミンによって、ハノイでベトナム民主共和国の独立宣言がされます。
しかし、連合国であるフランスは、ベトナムの独立を認めようとはしませんでした。
これによって、ホー・チ・ミンが結成したベトミン(ベトナム独立同盟会)とフランスとの間にインドシナ戦争が勃発します。
戦争中、フランスは南部の都市サイゴンに傀儡政権としてベトナム国を樹立します。
ところが、1954年にディエンビエンフーの戦いでベトミンが勝利し、ジュネーヴ休戦協定が締結されました。
南北ベトナム分断(1954年~)
ジュネーヴ休戦協定では、一時的という約束でベトナムは南北に分割されます。
本当であれば1956年に南北ベトナム統一のための自由選挙が行われる約束でした。
しかし、当時ベトナムで優勢だった北ベトナム(ベトナム民主共和国)は社会主義を中心とした国であり、統一選挙によってベトナム全体が共産主義化していくことを恐れたアメリカが、この最終宣言への参加を拒否します。
南ベトナムも署名を拒否し、結果的にジュネーヴ休戦協定は無効となります。
残念ながら自由選挙が行われることはありませんでした。
そして、1955年、南ベトナムにはベトナム共和国というアメリカの傀儡国家が成立します。
そして、ベトナム戦争へ
ここまでの流れをまとめると、長い植民地支配を経て、第二次世界大戦が終わるとベトナムも独立を目指します。
ようやくフランスからの独立を果たせると思われた矢先、アメリカとソ連・中国の東西対立に巻き込まれ、国自体が南北に分断されてしまった。
これによって南北対立が生まれ、内戦から戦争へ、そして大国間の代理戦争まで発展していくのです。
ベトナム戦争の経緯
では、ベトナム戦争が始まってからどのような経緯をたどったのかを見ていきましょう。
ベトコン結成と内戦ぼっ発
1960年、南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)が結成されます。
これはホー・チ・ミンが創設した元ベトミンを中心に、南ベトナム政府に対しての反政府組織でした。
ベトコンは北ベトナムから支援を受け、南ベトナム国内でゲリラ戦を展開します。
これにより南ベトナム内で内戦が勃発します。
アメリカの介入
当初からアメリカは南ベトナム支援に関与していましたが、直接介入はしていませんでした。
流れが変わったのが、1964年のトンキン湾事件です。
トンキン湾に停留中のアメリカ軍艦艇に対して、北ベトナムが魚雷攻撃を行ったというものでした。
(結果的にアメリカによるでっち上げであったことがのちに判明します)
アメリカは北ベトナム本土に対して空軍による爆撃(いわゆる北爆)を開始します。
そして直接軍隊を送り込み、戦争が本格化します。
北ベトナム軍はソ連・中国からも軍事的支援を受けて、ホーチミンルートによってベトコンを支援していました。
アメリカ兵にとって最も頭を悩ませたのが、最前線がなく、奪取すべき陣地もない、ベトコンとの戦いでした。
ベトコンはジャングルや地下トンネルを使い、ゲリラ戦術によってアメリカ軍や南ベトナム軍を悩ませ、戦線は泥沼化していきました。
反戦運動の広がり
そんな中、アメリカ兵部隊によって女性や子ども、老人を含めた500人を超える村人を虐殺した事件が発生します。
いわゆる「ソンミ村虐殺事件」です。
アメリカ政府はこの事実を隠そうとしましたが、翌年の1969年には世界中に事実が報じられることとなります。
ベトナム国民からの支持も得られず、アメリカ本国でも反戦運動が活発化し、アメリカ兵の士気は下がる一方でした。
テト攻勢により、ベトコンによってアメリカ大使館が一時占拠されたり、ペンタゴン・ペーパーズ暴露事件によってアメリカ政府の隠ぺいが暴露されたり、アメリカ本国にも衝撃をもたらしました。
そのような流れがあり、徐々にアメリカはベトナム戦争から引け腰になっていきます。
ニクソン政権での名誉ある撤退
「ベトナムからの名誉ある撤退」を公約に掲げていたニクソン大統領の就任を機に、徐々にアメリカ軍は撤退を始めます。
ただし和平交渉は難航を示し、その間も激しい北爆が実施されます。
1973年、ようやくフランスのパリにて、和平協定が締結されました。
これによって、アメリカにとってのベトナム戦争は終結し、アメリカ軍も撤退が完了します。
アメリカ撤退後の戦況
当初はアメリカの再介入を恐れ、しばらく様子を見ていた北ベトナムでしたが、やがて1975年には全面的な攻勢に出ます。
結局アメリカの大規模支援が途絶えた南ベトナムは満足に抵抗することができず、わずか3か月ほどで首都サイゴンが陥落します。
これにより、長らく続いたベトナム戦争が終結します。
翌年の1967年にジュネーヴ協定以来の南北統一選挙が行われ、南北ベトナム統一と、ベトナム社会主義共和国樹立が宣言されることとなりました。
ベトナム戦争が与えた影響
ベトナムへの影響
当事国であるベトナムには、当然大きな影響がありました。
簡単に整理してみました。
- 社会的影響
-
ベトナムでは戦争により数百万人が死傷し、多くの市民が戦争の犠牲となりました。
直接的な被害だけでなく、地雷や枯葉剤による長期的な健康被害など大きな爪あとを残しました。
戦争は家族や村などを破壊し、多くの人が故郷を離れ難民化が進みます。
- 経済的な被害
-
戦争による破壊や資源の浪費により、ベトナムは経済的に困難な状況に陥りました。
復興には長い時間と多大な努力が必要となりました。
- 世界情勢
-
戦争後、東南アジアの共産化が進み、特に、隣国のカンボジアとラオスでは、戦争の影響により政治的な混乱や内戦が激化しました。
アメリカへの影響
同じく戦争に直接介入したアメリカにも、影響は小さくありませんでした。
同様に整理してみます。
- 社会的影響
-
ベトナム戦争はアメリカ社会を分裂させました。
戦争に反対するために反戦運動が広がり、学生や若者を中心に多くのデモや抗議行動が行われ、やがて戦争の終結にまで影響を与えます。
ジャングルでのゲリラ戦に苦しめられた多くのアメリカ兵士が、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみました。
- 経済的な被害
-
軍事費の増加により国の財政が圧迫され、インフレが進み、米ドルの価値が低下しました。
ベトナム戦争の終盤に、アメリカは金本位制の撤廃をせざるを得なくなります。
いわゆる「ニクソン=ショック」と呼ばれる措置ですが、少なからずベトナム戦争の影響がみて取れます。
- 世界情勢
-
戦争を長期化させ、事実を隠ぺいする政府の対応に対して、多くの市民が不満を抱きました。
戦争の終結を求める声が高まり、政治家たちは戦争に対する姿勢を再評価せざるを得なくなりました。
反戦運動の広がりが大きくなり、ヒッピー文化など反政府的な文化形成にもつながっていきます。
国内・海外レビューサイトの評価

レビューサイトでの総合評価が高い映画TOP5
国内外の映画レビューサイトでの評価を集計、ランキング化した結果、トップ5は次のようになりました。
順位 | タイトル | 国内レビュー 総合評価 | 海外レビュー 総合評価 | 国内・海外 レビュー総合 |
---|---|---|---|---|
1位 | 地獄の黙示録 ファイナル・カット | 3.97 | 88.8 | 84.0 |
2位 | ディア・ハンター | 4.03 | 85.8 | 83.23 |
3位 | プラトーン | 3.9 | 87.2 | 82.6 |
4位 | フルメタル・ジャケット | 3.83 | 85.6 | 81.13 |
5位 | ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 | 3.77 | 77.4 | 76.37 |
コッポラ監督の「地獄の黙示録」が国内、海外両方の評価レビューサイトで総合的に一番評価が高い作品のようです。
ランキング上位に入っている作品は、やはり名作と呼ばれるものがランクインしています。
ベトナム戦争についてよく知りたい方は、これらの作品は必見と言えますね!
国内レビューサイトでの評価が高い映画TOP5
国内の映画レビューサイトでの評価を集計、ランキング化した結果、トップ5は次のようになりました。
順位 | タイトル | Filmarks | Yahoo!映画 | 映画.com | 国内レビュー 総合評価 |
---|---|---|---|---|---|
1位 | ディア・ハンター | 4 | 4.2 | 3.9 | 4.03 |
2位 | 地獄の黙示録 ファイナル・カット | 4 | 4 | 3.9 | 3.97 |
2位 | プラトーン | 3.7 | 4.1 | 3.9 | 3.9 |
4位 | フルメタル・ジャケット | 3.8 | 3.9 | 3.8 | 3.83 |
5位 | ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実 | 3.8 | 3.9 | 3.8 | 3.83 |
日本の映画レビューサイトでは、ベトナム戦争について取り上げられた作品のうち、「ディア・ハンター」の評価が一番高いようです。
どこか日本人の琴線に触れる作品になっているようですね。
海外レビューサイトでの評価が高い映画TOP5
国内の映画レビューサイトでの評価を集計、ランキング化した結果、トップ5は次のようになりました。
順位 | タイトル | IMDb | Metacritic METASCORE | Metacritic USER Score | RottenTomatoes TOMATOMETER | RottenTomatoes Audience Score | 海外レビュー 総合評価 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1位 | 地獄の黙示録 ファイナル・カット | 8.4 | 94 | 8.8 | 93 | 91 | 88.8 |
2位 | プラトーン | 8.1 | 92 | 8.1 | 89 | 93 | 87.2 |
3位 | ディア・ハンター | 8.1 | 90 | 8.1 | 86 | 91 | 85.8 |
4位 | フルメタル・ジャケット | 8.2 | 78 | 8.4 | 90 | 94 | 85.6 |
5位 | 戦場からの脱出 | 7.3 | 77 | 7.4 | 90 | 76 | 77.8 |
海外の映画レビューサイトでは、上位にランキングされている作品は、総合ランキングとほぼ同じです。
ただ、5位の作品だけ入れ替わっています。
海外と日本の評価の差が表れていて面白いですね!
まとめ

ベトナム戦争をテーマにした映画作品は、名作と呼ばれるものが数多くあります。
アメリカの歴史に避けられない爪あとを残したと言える戦争です。
近現代の歴史、さらにはアメリカを理解するためには避けられないテーマの一つと言えるでしょう。
ぜひこれらの作品を鑑賞し、教養を深めてみてはいかがでしょうか。
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