壮大な歴史のうねりと、人間の欲望が交錯する古代ローマ。
HBOとBBCが共同制作した海外ドラマ『ROME[ローマ]』は、ただの歴史再現ドラマではありません。
カエサル、アントニウス、クレオパトラなど歴史教科書でおなじみの人物たちが、まるで現代人のように悩み、怒り、愛し合う姿を通じて、歴史がぐっと身近に感じられる作品です。
この記事では、『ROME[ローマ]』を初めて観る方にもわかりやすく、物語の背景や登場人物、作品のテーマ、小ネタまでを網羅的に解説します。
「歴史って難しそう」
「ローマ史は詳しくないけど気になる」

作品概要

タイトル | ROME[ローマ] |
原題 | ROME |
公開年 | 2005年 |
制作国 | アメリカ、イギリス |
時間 | 全2シーズン、全22話(シーズン1:12話、シーズン2:10話) |
監督 | マイケル・アプテッド、ジュリアン・ファリノ、アレン・コールター、アラン・プール、ティム・ヴァン・パタン、スティーヴ・シル、ジェレミー・ポデスワ、アラン・テイラー、ミカエル・サロモン |
キャスト | ケヴィン・マクキッド(ルキウス・ヴォレヌス)、レイ・スティーヴンソン(ティトゥス・プッロ)、キアラン・ハインズ(カエサル)、ポリー・ウォーカー(アティア)、ジェームズ・ピュアフォイ(アントニウス)、ケネス・クラナム(ポンペイウス)、リンゼイ・ダンカン(セルウィリア)、トビアス・メンジーズ(ブルートゥス)、マックス・パーキス(オクタヴィアヌス)、ケリー・コンドン(オクタヴィア)、インディラ・ヴァルマ(ニオベ) |
作品概要 | 『ROME[ローマ]』は、共和政から帝政への移行期にある古代ローマを舞台に、実在の歴史的人物と架空の兵士2人の視点から描かれる壮大な歴史ドラマです。第13軍団の百人隊長ルキウス・ヴォレヌスとその部下ティトゥス・プッロの物語を中心に、カエサルの台頭と暗殺、アントニウスとオクタヴィアヌスの権力闘争など、歴史的事件が重厚なセットと衣装で再現されています。 |

事前に知っておきたい歴史的背景

物語の舞台と時代背景
このドラマの舞台は、共和政ローマから帝政ローマへと移行する紀元前1世紀の地中海世界です。
古代ローマの「内乱の1世紀」として有名ですが、西洋史の転換点としても、政治・軍事・文化のすべてが大きく動いた時代でもあります。
カエサルの独裁、元老院との対立、内戦、そしてアウグストゥスによる帝政樹立という一連の流れは、現代の「国家」という仕組みにも影響を与えたローマ史の核心部分と言えます。
このドラマの始まりは、カエサルがガリア(現在のフランス、ベルギー、オランダのあたり)を攻略し、ローマの元老院を後ろ盾にしたポンペイウスとあつれきが生じるところから描かれています。
この時はまだローマの政治は共和制であり、元老院の力がまだまだ健在です。
いくつもの登場人物たちの信念や行動によって、やがて帝政に向かっていく様子がドラマチックに描かれているのも、このドラマの魅力的なポイントだと言えるでしょう。
時代を動かす登場人物
このドラマには、教科書で目にする歴史的人物が多数登場します。
これらの主要な登場人物について事前に知っておくと、彼らの行動や葛藤に深みを感じられるようになり、ドラマがいっそう楽しめます。
たとえばカエサルは、単なる独裁者ではなく改革者としての顔もあり、その野望が周囲に恐れられることで暗殺されます。
こうした人間関係や政治的背景は、ドラマをより立体的に楽しむ手助けとなります。
ユリウス・カエサル:共和制を揺るがしたカリスマ指導者
カエサルは、古代ローマの共和政を揺るがすほどの影響力を持った人物です。
彼が重要なのは、従来の制度を超える大きな権力を手に入れ、ローマを個人の支配へと導いた点にあります。
カエサル自身はローマ皇帝にはなっていませんが、実質的にローマの帝政の基礎を作った人物だと言えるでしょう。
ガリア戦争での大勝利、ローマ市民からの圧倒的支持、終身独裁官への就任などを経て、元老院から恐れられ、最終的には暗殺される――
このドラマはまさにその栄光と転落を描いています。

「カエサルがてんかん持ちだった」説など、歴史好きの人がニヤッとするような小ネタも描かれたりしていて楽しいですよ!
ポンペイウス・マグヌス:カエサルと並ぶローマの英雄
ポンペイウスは、カエサルと並ぶ当時のローマの最高権力者であり、二人の対立がローマ内戦の引き金となりました。
彼は軍事的才能と政治的影響力を兼ね備え、元老院の後ろ盾を得てカエサルに対抗しました。
第1回三頭政治の一角としてローマを支配した後、妻ユリア(カエサルの娘)の死をきっかけに同盟関係が崩壊し、内戦へ突入。
その後、敗走してエジプトに逃れますが、プトレマイオス朝によって暗殺され、非業の最期を遂げました。
『ROME』では、カエサルとポンペイウスの微妙な関係性や、政敵としての駆け引きが物語の大きな軸となっています。



最強の武将と言われていたポンペイウスが、ローマに向かってくるカエサルとなぜ戦えなかったのか、その経緯までドラマで描かれており、とても興味深いです。
マルクス・アントニウス:カエサルの後継者をめぐりオクタヴィアヌスと敵対
アントニウスは、カエサルの右腕として活躍した軍人・政治家で、カエサルの死後にその遺志を継ごうとした人物です。
オクタヴィアヌス、レピドゥスとの第2回三頭政治を行いますが、カエサルの後継を巡る争いの中で、最終的にはクレオパトラと手を結び、ローマ内戦の火種となっていきます。
一時は勝者として君臨しますが、オクタヴィアヌスとの対立によって追い詰められていく様子が、ドラマでも劇的に描かれています。



全シーズンにわたって登場し、かなり人間臭いキャラクターとして描かれているので感情移入しやすいかもしれません!
ガイウス・オクタヴィアヌス:ローマ初代皇帝
オクタヴィアヌスは、カエサルの養子であり、後にローマ帝国初代皇帝アウグストゥスとなる人物です。
彼が注目されるのは、冷静で策略に長けた若き政治家として、共和政の理想を掲げながら実質的な独裁を築き上げた点にあります。
アントニウスやクレオパトラとの対立、アクティウムの海戦での勝利などを通して、最終的に「パクス・ロマーナ(ローマの平和)」の時代をもたらす中心人物として描かれます。
『ROME[ローマ]』では、はじめは素直で頭の良い青年として登場しますが、やがてローマの政治や軍事にもまれながら成長し、冷静沈着で非常な独裁者としての資質を身に着けるさまが描かれています。



最初と最後の印象が全然違うキャラクターとして描かれています。シーズンを通してオクタヴィアヌスがどう成長していくのかがていねいに描かれています!
クレオパトラ:政略と愛に生きた最後の女王
クレオパトラは、プトレマイオス朝エジプトの最後の女王であり、カエサル、アントニウスというローマの有力者と関係を持ったことで知られています。
彼女の存在が鍵となるのは、ローマの内部争いに対してエジプトという外部の権力が深く関わった例として、歴史的に大きな意味を持つからです。
ドラマでは、知性と野心、母としての一面も含め、多面的に描かれ、アントニウスとの悲劇的な最期は特に印象的な場面の一つです。



クレオパトラもこのドラマ独自の解釈が多い印象です。ラストシーンの解釈も彼女の立場をよくあらわしていて興味深いです!
カエサリオン:カエサルとクレオパトラの息子、はかない希望の象徴
カエサリオンは、カエサルとクレオパトラの間に生まれた息子で、エジプト名では「プトレマイオス15世」として即位しました。
彼が歴史的に重要なのは、父カエサルの血を引く唯一の実子として、帝位継承の可能性を秘めていた存在だったからです。
しかし、ローマではオクタヴィアヌスがカエサルの正式な後継者とされ、カエサリオンはその正統性を脅かす存在として処刑されました。
ドラマでは、彼の存在が権力闘争の中でどう扱われるかが重要な象徴となっています。



カエサリオンに関しては、このドラマオリジナルの解釈がなされています。彼がどうなっていくのかは最後まで目が離せません!
覚えておくと理解が深まる重要用語
共和制と独裁
共和制とは、王ではなく貴族や市民出身の政務官(政治家)によって統治される政治体制で、古代ローマでは数百年にわたりこの制度が続きました。
政務官は貴族や市民の中から複数名が任命され、任期も1年に限られるため、特定の個人が独裁的な権力を持たないような仕組みが形成されていました。
ところが、軍事力と個人のカリスマに頼る状況が進み、カエサルが「終身独裁官」に就任することで制度が揺らいでいきます。
この変化がドラマの大きなテーマであり、共和制を守ろうとする政治家たちと、それを超えようとする者たちの対立は物語の主軸です。
元老院とは?
元老院はローマの政治を担った貴族階級の議会です。
実際に政治を動かすのは政務官であり、そのアドバイザー的な役割を担っていました。
ただしその構成員である議員には、政務官を歴任した有力者が就任し、任期がないことから、実質的には巨大な政治的権力を持っていたことも確かです。
ドラマの中ではカエサルが強大な権力を持つに従い、彼らの力が弱まり、やがて反発が高まっていきます。
カエサルが議会の中で暗殺される場面は、まさにその元老院の抵抗を象徴しています。
執政官、護民官、監察官などの官職について
ローマには様々な官職が存在し、それぞれに明確な権限と任期がありました。
政治に関する官職者は政務官と呼ばれ、その中でも次のような役割、任期を持つ立場にありました。
政務官 | 役割・概要 |
---|---|
執政官(コンスル) | 任期1年の最高権力者。内政・軍事の最高命令権を持つが同時に2名までしか選出されない。 |
護民官 | 平民の保護者。他の政務官や元老院の決定事項に対して拒否権を持つ。 |
独裁官 | 元老院が非常事態を宣言した場合のみ設置される特別な官職。すべての公職者を上回る権限を持つが、任期は半年だけと決められている。 |
その他政務官 | 司法、財務、国勢調査、公共施設の管理や食料管理など、役割がそれぞれ決められている。 |
これらの制度を知っておくと、登場人物がどの立場にいて、どんな利害があるのかが理解しやすくなります。



登場人物が護民官としての権限を使う、なんてシーンもありましたね。
軍団(レギオン)と兵士の役割
ローマの軍団は市民兵によって構成され、ローマの拡大と安定を支えました。
しかし、カエサルのように個人が軍団を私兵化すると、国家より将軍に忠誠を誓うという逆転が起きます。
実際に物語の冒頭では、軍人たちがカエサルに忠誠を誓うさまがありありと描かれています。
本作のプッロやヴォレヌスのような兵士たちは、まさにその変化の渦中にある存在です。
ローマ市民と奴隷制度の存在
古代ローマは階級社会で、自由市民と奴隷が明確に区別されていました。
市民には投票権や土地保有権があり、兵役の義務もあります。
一方で奴隷は物として扱われ、売買や虐待も合法でした。
ドラマでは、こうした身分差による苦悩や逆転劇が数多く描かれ、社会構造そのものが重要な物語要素となっています。



今では考えられないですが、奴隷が財産として扱われていたり、どんな扱いを受けていたかもリアルに表現されていたりします。
ストーリー・あらすじ


あらすじ
シーズン1:カエサルの台頭から暗殺まで
古代ローマの激動の時代は、カエサルの帰還と政治的野望から始まります。
このシーズンの核は、彼がガリア戦争から帰還後、ローマの政局を掌握していく過程と、それに反発する元老院の動きです。
ポンペイウスと対立し、ローマへの凱旋からの大多数の元老院議員との内乱が描かれます。
戦争に勝利したカエサルは、権力をほしいままにし、やがて終身独裁官へ就任することになります。
最終的には独裁を危惧する元老院議員による暗殺まで、史実に基づいた大事件が重厚に描かれます。
ヴォレヌスとプッロという平民兵士の目線を通して見ることで、歴史の裏側や民衆のリアルな姿が浮かび上がります。
シーズン2:内戦と帝政への道
カエサルの死後、ローマは一気に内戦状態に突入します。
このシーズンでは、アントニウスとオクタヴィアヌスの対立が中心となり、覇権争いが国家の形を変えていきます。
クレオパトラの登場やアクティウムの海戦など、壮大なスケールのドラマが展開され、最終的にオクタヴィアヌスが「帝政ローマ」の礎を築く流れが描かれます。
同時に、庶民であるヴォレヌスとプッロの人生も政変に翻弄されながら進み、歴史と個人の交差点が浮き彫りにされます。
作品が描くテーマとメッセージ
このドラマが伝えたいのは、「歴史とは一部の英雄の物語ではなく、多様な人間たちが生きた現実の積み重ね」だということです。
政治家の野望や信念だけでなく、兵士や女性、市民や奴隷たちの日常や葛藤も丁寧に描かれており、ローマという巨大国家の多層的なリアリティが伝わります。
また、正義と野心、忠誠と裏切り、理想と現実
――そうした普遍的な人間のテーマが、時代を超えて視聴者に問いかけてきます。
様々な層の視点から描く古代ローマ
この作品の最大の魅力は、歴史を「支配者の目線」だけでなく、平民・女性・奴隷といった複数の視点から描いていることです。
たとえば、アティアのような野心的な女性貴族や、過酷な運命に翻弄される奴隷たち、そしてローマ兵として家族と国家の板挟みに悩む男たち――。
こうした多層的な描写が、単なる史実の再現にとどまらない、深い人間ドラマとしての厚みを生み出しています。
作品を理解するための小ネタ


リアリズム重視の史実を再現
『ROME[ローマ]』は、実際の歴史に基づき、歴史に忠実にストーリー展開が進んでいきます。
カエサルとポンペイウスとの対立、クレオパトラとの出会いから独裁色を強めていき、やがて議会の中でブルータスたちによって暗殺されるなど、大きな歴史の流れは史実をていねいになぞっています。
興味深いのは、「賽は投げられた」「ブルータスよ、おまえもか」などの有名なセリフは一切言っていないこと。
カエサルがこれらのセリフを実際に口にしたかどうかはわかりません。
ただし、この名言の通りの心理描写、演出がされており、人間ドラマとしてのリアリティをより強めてくれます。
まさに偉人たちの歴史的瞬間のその心理を一緒に体感することができるんです!
主人公はあえて一般市民に
この作品では実際の歴史に基づきながらも、一部フィクションや演出を加えてドラマ化しています。
特に主人公であるヴォレヌスとプッロの物語は完全に創作です。
一応彼らの名前は、カエサルの『ガリア戦記』に実在した兵士の名から取られていますが、実際に詳細な記録が残っているわけではありません。
彼らがカエサル軍から退役し、一介のローマ市民として生きていく様を追うことで、当時の人々のくらしや悩みを知ることができます。
いわば「民衆目線での古代ローマ」をよりリアルにイメージするための役割を与えられているのです。
彼ら2人の行動はシーズン全体を遠してストーリー展開に大きくかかわっており、ドラマを見る人を飽きさせることがありません。
当時の細やかな日常生活や習慣を描写
本作は、歴史考証に徹底的にこだわっており、古代ローマの生活文化をリアルに再現しています。
具体的には、道路や市場、浴場、食事、奴隷の扱いなど、教科書では触れられにくい日常を丹念に描いています。
特に、都市の喧騒や庶民の暮らしぶりは、他の歴史ドラマではなかなか見られないリアルさで、視聴者を当時の空気感に引き込みます。
いたるところに当時の習慣や技術力の高さをあらわすシーンが出てきます。
例えば、
- 脳外科の手術シーン
- 広場の暦(カレンダー)のシーン
「当時からこんな高い知識や技術力があったのか!」と驚かされること請け合いです。
衣装・セットの緻密な階級表現
衣装やセットデザインにも強いこだわりがあり、階級ごとの違いが視覚的に理解できるよう工夫されています。
たとえば、貴族たちは豪華なトガ(古代ローマ男性がよく来ている衣類)や装飾品を身につけ、使用する家具や壁の装飾も贅沢なのに対し、庶民や奴隷の住環境は質素そのもの。
階級差を空間の演出で見せるこの手法は、物語の緊張感を高めるだけでなく、視聴者にローマ社会の構造を自然に伝えます。
宗教儀式や神々の描写
本作では、ローマ人の宗教観や神々との関係も重要な要素として描かれています。
ローマ人にとって、神々への祈りや儀式は日常生活と不可分であり、戦いや政治の判断にも大きく影響を与えていました。
作中では、祭司による占いや神殿での儀式、さらには民間の信仰などがリアルに描かれ、「信仰が政治と結びつく時代」の空気が体感できます。
作品の評価・口コミ


レビューサイト 評価 | 総合評価 | 80.30 | |
国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 3.75 | |
Filmarks | 4.0 | ||
Yahoo!映画 | – | ||
映画.com | 3.9 | ||
海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 85.60 | |
IMDb | 8.7 | ||
METASCORE Metacritic | 70 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 8.9 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 86 | ||
Audience Score RottenTomatoes | 96 |
海外レビューサイトでの評価が非常に高いですね。
レビューの中身を見ていくと、「史実の再現」「映像美」「重厚な人間ドラマ」が支持され、ユーザーからは高く評価されています。
ただし、一部の批評家・視聴者からは「ペースにばらつき」「スタイル重視で中身が薄い」などの指摘も見られます。
それでも「歴史ドラマ好き」には強く勧められる、厚みと読み応えあるシリーズと言えるでしょう。
監督・脚本・キャスト


制作陣について
『ROME[ローマ]』は、アメリカのHBO、イギリスのBBC、2つの大国を代表する放送局が共同制作した、当時としては非常に珍しい大規模な国際プロジェクトです。
総製作費は200億円以上とも言われており、これは当時のTVシリーズとしては異例の高額でした。
製作総指揮には、ジョン・ミリアス(『地獄の黙示録』共同脚本)、ブルーノ・ヘラー(のちの『メンタリスト』原作・製作総指揮)などが名を連ねています。
特にヘラーは、壮大な歴史と人間ドラマを巧みに組み合わせる脚本構成で高く評価されました。
エミー賞も5部門で受賞しており、高く評価されている作品です。
主要キャストについて
登場人物が多い本作ですが、それぞれの俳優がキャラクターに深みを与えています。以下は主要なキャストの一部です。
ケヴィン・マクキッド(ヴォレヌス)
元ローマ軍団の兵士であり、道徳と忠誠の間で揺れる複雑な人物を演じたのがケヴィン・マクキッド。
後に『グレイズ・アナトミー』のオーウェン役でも知られる彼の繊細な演技が、ヴォレヌスというキャラクターを立体的に仕上げています。
レイ・スティーヴンソン(プッロ)
ヴォレヌスの相棒で、破天荒だが人間味あふれるプッロ役を務めたのがレイ・スティーヴンソン。
筋骨隆々の風貌と奔放な振る舞いが印象的で、彼の存在が作品にユーモアとダイナミズムを加えています。
なお、2023年に惜しくも亡くなりましたが、本作での演技は今なお高く評価されています。
キアラン・ハインズ(カエサル)
歴史上でもっとも著名な人物のひとり、ユリウス・カエサルを重厚に演じたのがキアラン・ハインズ。
品格と冷静さを併せ持つ彼の演技は、カエサルの「英雄性」と「危うさ」を見事に体現しています。
後年は『ゲーム・オブ・スローンズ』のマンス・レイダー役でも知られています。
ジェームズ・ピュアフォイ(アントニウス)
豪胆で感情的、そして魅力的なアントニウスを演じたのはジェームズ・ピュアフォイ。
彼のアントニウス像は、冷静なオクタヴィアヌスとの対比によって一層印象を強めており、カエサル亡き後の権力争いをドラマチックに盛り上げます。
ポリー・ウォーカー(アティア)
アウグストゥスの母であり、策略と色香を巧みに使うアティアを演じたのがポリー・ウォーカー。
架空のキャラクターでありながら、その存在感は絶大で、女性の権力と欲望を体現する象徴的なキャラクターとして高く評価されています。
撮影現場の裏話
本作の撮影はイタリア・チネチッタ・スタジオに巨大なローマの街並みセットを建設して行われました。
当時最大規模といわれたこのセットは、100を超える建物や通りで構成され、照明・天候・音響まで考慮されたリアルな街が丸ごと再現されていました。
また、俳優たちは当時の生活様式を体験する「ローマ生活講習」を受けており、食事・衣服・宗教儀式などの所作にもリアリティが宿っています。
このような徹底した準備とリアルさへのこだわりが、『ROME[ローマ]』を「教科書以上の歴史体験」へと昇華させているのです。
まとめ


まとめ
- 『ROME』は実在の歴史をもとにした壮大な人間ドラマで、共和政から帝政への激動期を多角的に描かれている
- カエサル、アントニウス、オクタヴィアヌスら歴史の中心人物に加え、庶民視点の登場人物が物語に深みを加えている
- ローマ社会の階級や宗教、軍団制度なども丁寧に再現され、視聴するだけで古代ローマ時代に関する知識が深まる内容になっている
- 衣装や建築、美術に至るまで緻密な考証が施され、古代ローマの空気感が臨場感たっぷりに伝わってくる
- 若手俳優から名優まで実力派キャストが集結し、人物像の複雑さや歴史のダイナミズムをリアルに体現している
古代ローマの激動を描いた『ROME[ローマ]』は、歴史の知識だけでなく、人間の本質や社会の仕組みについても多くの気づきを与えてくれます。
難しそうに思える歴史作品も、まずは「面白そう」と思える一本に触れてみることから始まります。
ドラマをきっかけに興味が広がれば、ニュースや読書、日常の会話の中でも歴史的な視点を持てるようになり、教養としても大きな財産になります。
さあ、あなたも一歩踏み出して、古代ローマの世界に触れてみませんか?
きっと、未来のあなたの視野を広げてくれるはずです。


コメント