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「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」歴史を変えた女性の決断と報道の使命

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「報道の自由」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?

今回ご紹介する映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」は、1971年、アメリカ政府がひた隠しにしてきたベトナム戦争に関する機密文書を巡るジャーナリストたちの戦いを描いた衝撃の実話です。

教科書だけでは決して触れることのできない、報道の自由、国家の欺瞞、そして一人の女性発行人の勇気ある決断が、スリリングな展開とともに描かれます。

本記事では、映画の時代背景やテーマ、見どころなどをわかりやすく解説しながら、知的好奇心を刺激するポイントを紹介します。


歴史の深淵を覗き見たいあなたへ。

社会の裏側で何が起きていたのかを知りたいあなたへ。

そして、これから社会に出る上で、真実を見抜く目を養いたいあなたへ。


この映画は、単なる過去の物語ではなく、現代を生きる私たちにとっても重要な問いを投げかけてくるはずです。

さあ、「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」の世界を通じて、ジャーナリストたちの熱い戦いの歴史を覗いてみましょう。

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目次

作品概要

タイトルペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
原題The Post
公開年2017年
制作国アメリカ
時間116分
監督スティーヴン・スピルバーグ
キャストメリル・ストリープ(キャサリン・グラハム役)、トム・ハンクス(ベン・ブラッドリー役)、サラ・ポールソン、ボブ・オデンカーク、トレイシー・レッツ、ブラッドリー・ウィットフォード、ブルース・グリーンウッド、マシュー・リス
作品概要1971年、ベトナム戦争に関する米政府の最高機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」がリークされ、ニューヨーク・タイムズがその一部をスクープ。政府が記事差し止め訴訟を起こす中、ワシントン・ポストの編集主幹ベンと発行人キャサリンは、報道の自由と真実のために全貌を公表しようと奔走する。
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事前に知っておきたい歴史的背景

時代背景 〜冷戦とベトナム戦争の時代〜

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」の物語を深く理解するためには、1970年代初頭のアメリカを取り巻く国際情勢、特に冷戦ベトナム戦争という二つの大きな潮流を把握しておくことが不可欠です。

なぜならこれらの時代背景が、政府の秘密主義を生み出し、「ペンタゴン・ペーパーズ」が報道されるに至るまでの根本的な要因となっているからです。

具体的には、第二次世界大戦後、アメリカとソ連を中心とした資本主義陣営と共産主義陣営の対立(冷戦)は、世界各地で代理戦争を引き起こし、その最たるものがベトナム戦争でした。

アメリカは共産主義の拡大を防ぐという大義名分の下、南ベトナムを支援しましたが、その戦況は泥沼化し、国内では厭戦気分が高まっていました。

同時に国内では「共産主義の脅威」に敏感になり、政府は厳しい情報統制を行う一方で、国民は反発を強めていきます。


ベトナム戦争は泥沼化、国内では反戦運動が広がっていた

ベトナム戦争は、アメリカにとって長く苦しい戦いとなり、やがて国民の信頼を大きく失う原因となりました。

理由は、表向きには「自由主義を守る戦争」とされていたものの、実際には成果もなく、多くの若者が犠牲になったからです。

フランスの植民地支配からの独立を目指すベトナムの民族解放運動に対し、アメリカは当初、南ベトナム政府を財政的・軍事的に支援しました。

しかし、北ベトナムの勢力は強大であり、アメリカの介入は長期化、激化の一途を辿ります。

1960年代後半には多数の反戦デモが発生。

政府が「勝っている」と主張する一方で、戦場の実態はそれと矛盾していたのです。

多くの犠牲者を出し、アメリカ国内でも深刻な社会問題を引き起こしたこの戦争は、「ペンタゴン・ペーパーズ」がその実態を暴く対象となった重要な背景です。


「ペンタゴン・ペーパーズ」とはアメリカ政府の極秘文書

「ペンタゴン・ペーパーズ」とは、アメリカ国防総省が極秘裏に作成した、ベトナム戦争に関する詳細な分析と記録をまとめた報告書であり、映画の核心となる機密文書です。

その理由は、この文書が、アメリカ政府が長年にわたり国民に真実を隠蔽してきた可能性を示唆する内容を含んでいたからです。

具体的には、1945年から1967年までのアメリカのベトナム政策決定の過程、軍事介入の経緯、そして政府が国民に伝えてこなかった情報などが詳細に記録されていました。

この文書の重要な点は、アメリカが戦争に勝てる見込みがないと知りながら、政治的な都合で介入を続けていた証拠が記されていたことです。

この極秘文書の存在と、その一部が新聞社にリークされたことが、映画の物語を大きく動かす原動力となります。

当初はニューヨーク・タイムズがスクープとして報じましたが、やがてワシントン・ポストも文書を入手、報道します。

これによって政府は猛反発し、報道の自由をめぐる大きな法廷闘争に発展していくのです。


主要新聞社は報道か、沈黙か──重大な決断が迫られた

ワシントン・ポストは、政府からの圧力と社内の葛藤の中で、「報道するか否か」の決断を迫られました。

なぜなら、ニューヨーク・タイムズが政府により報道を一時差し止められたあと、同じ資料を入手したポストが「第二の報道機関」として注目されたからです。

ワシントン・ポストはまだ全国紙になって間もなく、経営も不安定な状況でした。

報道すれば名声を得るかもしれないが、政府から訴えられるリスクも大きい。

特にキャサリン・グラハムには、経営者としてのプレッシャーと偏見がのしかかります。

彼女は亡き夫の後を継いでワシントン・ポストの経営権を握っていましたが、まだ女性経営者がほとんどいない時代。

そんな中ジャーナリズムを代表して、政府を相手に戦うことができるのか?

本作は、こうしたリアルな緊張感の中で、報道の使命とは何かを問いかけてきます。


ストーリー・あらすじ

あらすじ(ネタバレ少なめ)

この映画は、アメリカ政府の極秘文書を報道するかどうかという重大な選択を迫られた新聞社の実話を描いた作品です。

その決断が国の命運を左右し、報道の自由をめぐる大きな歴史的事件に発展したからです。

物語の主人公は、ワシントン・ポスト紙の発行人キャサリン・グラハムと編集主幹ベン・ブラッドリー。

ニューヨーク・タイムズが報じた「ペンタゴン・ペーパーズ」をめぐり、政府の圧力に屈せず報道するかどうかの判断に揺れます。

政治、ビジネス、家庭、個人の信念が複雑に絡み合う中で、キャサリンは自らの声を見つけ、最終的に歴史的な一歩を踏み出します。

この映画が伝えたいテーマ

本作が伝えたい最大のメッセージは、「真実を守るために声を上げることの尊さ」です。

それは、どれだけ強大な権力に直面しても、良心に従って行動する人々が歴史を動かすという普遍的なテーマだからです。

作品では、女性として初の大手新聞発行人であるキャサリンが、周囲のプレッシャーや性別による偏見に抗いながら、自分の意志で報道を許可する姿が描かれます。

また、編集部の記者たちが信念に基づき行動する姿も印象的で、「声を上げることは怖いが、沈黙はもっと危険だ」という強いメッセージが込められています。


一人の女性の成長物語としても

この映画は、政治ドラマであると同時に、キャサリン・グラハムという一人の女性の「成長の物語」でもあります。

なぜなら、彼女の内面的な変化と覚悟の過程が、報道という外的なドラマとリンクして描かれているからです。

当初は経営者として未熟で、周囲の男性たちに圧倒されがちだったキャサリンが、作品終盤では毅然とした態度で決断を下します。

その姿は「報道の自由」の象徴であると同時に、「自分の声を見つける」すべての人へのエールとしても機能しています。

彼女の成長は、単なる史実以上の意味をもって、現代を生きる私たちにも深い共感を呼び起こします。


作品を理解するための小ネタ

『大統領の陰謀』へのオマージュ

この作品は、1976年の映画『大統領の陰謀』への明確なオマージュとして作られています。

なぜなら、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』の事件は『大統領の陰謀』で描かれるウォーターゲート事件の「序章」にあたるからです。

実際、ラストシーンでワシントン・ポストの記者が「ウォーターゲート侵入事件発生」の通報を受ける場面が登場します。

これは『大統領の陰謀』の冒頭に直結する演出で、報道が権力とどう戦ってきたかの「歴史の連なり」を示す巧妙な仕掛けとなっています。

この作品を知っていれば思わずニヤリとする場面ですが、本作単体でも十分に意味を持つ構成になっています。


階段・群衆のシーンが象徴するもの

映画に頻出する「階段」や「群衆」のシーンは、キャサリン・グラハムの心情や社会的立場の変化を象徴しています。

なぜなら、彼女が「立場を受け入れて従う存在」から、「自ら選び行動する存在」へと変化していく様子が、視覚的に表現されているからです。

たとえば、序盤では男性たちに囲まれて小さく見えるキャサリンが、終盤には記者たちの間を堂々と歩き、自分の意志を貫くようになります。

また、大勢の人々が新聞社の外に集まる群衆のシーンは、「沈黙の中で見守っていた市民」が報道の行方を注視していることを示しています。

画面構成の中に、主人公の変化と社会の期待が巧みに織り込まれているのです。


新聞印刷・タイプ音の演出

本作では、新聞印刷機の動きやタイプライターの音が印象的に使われており、それ自体がドラマの一部となっています。

これは、「情報が言葉になり、社会に届けられる」プロセスを緊張感と共に表現するためです。

特にクライマックスの印刷シーンでは、機械が動き始め、次々に刷り上がっていく新聞紙の描写が、まるで勝利のファンファーレのように描かれます。

一方で、タイプ音の演出は、記者たちの葛藤と決意のリズムを体現しています。こうした細部の演出によって、報道の現場が持つ重みや熱量が、観客にも強く伝わってきます。


現代へのメッセージ

この映画は過去の出来事を描いていますが、実際には現代社会への強い警鐘も込められています。

なぜなら、フェイクニュースや政治圧力が蔓延する今だからこそ、「真実を伝える力」の大切さが問われているからです。

監督スティーヴン・スピルバーグも、「この映画は今作らなければ意味がない」と語っており、現代の報道環境や民主主義の危機への応答として本作を世に送り出しました。

自由な言論が脅かされる時代にあって、過去の闘いを知ることは、未来を守る一歩となる――

それがこの作品のもう一つの核となるメッセージです。


作品の評価・口コミ

レビューサイト
評価
総合評価76.37
国内
レビュー
サイト
国内総合評価3.77
Filmarks3.8
Yahoo!映画3.8
映画.com3.7
海外
レビュー
サイト
海外総合評価77.4
IMDb7.2
Metacritic
METASCORE
83
RottenTomatoes
TOMATOMETER
7.0
RottenTomatoes
TOMATOMETER
88
RottenTomatoes
Audience Score
74

『ペンタゴン・ペーパーズ』は、実話に基づく社会ドラマとして、メディアの意義や歴史への洞察を深める秀作と評価されています。

演出、音響、キャストのすべてが高評価を集めており、「報道の重要性を再認識した」というコメントが多数。

また、批評家からも「派手さではなく本質を描いた良作」との評価を得ています。

歴史テーマに興味がある方はもちろん、政治や社会を背景に深いテーマを描いた映画が好きな方にも、自信を持っておすすめできる作品です。

代表的なコメント
  • 「報道の意義を考えさせられる」
  • 演技とキャラクター描写が秀逸
  • 「序盤や印刷シーンの緊張感に圧倒された
  • 「会派映画としての時代性と普遍性がある」

監督・脚本・キャスト

監督:スティーヴン・スピルバーグ

本作の監督は、ハリウッドの巨匠スティーヴン・スピルバーグです。

彼はこの作品を、「今、社会に問いかけるべきテーマを描くもの」として異例のスピードで撮影・公開しました。

通常は長期計画を立てて作品を作るスピルバーグが、本作は脚本を読んだ直後に即決し、わずか数ヶ月で撮影を完了させたのは異例中の異例。

背景には、当時のアメリカ政権によるメディアへの圧力や、フェイクニュースの台頭といった現代的問題への強い危機感がありました。

過去を描きながらも、現代の民主主義に警鐘を鳴らすスピルバーグらしい社会派作品です。


キャストの見どころと豆知識

本作では、アカデミー賞常連の名優たちが実在の登場人物を演じています。

彼らの演技は、人物の人間性と葛藤をリアルに表現し、観客に深い共感を与えます。


メリル・ストリープ(キャサリン・グラハム役)

メリル・ストリープは女性経営者の葛藤と成長を、繊細かつ力強く演じきっています。

この作品の中で、キャサリンの複雑な内面を、多層的な演技で表現しているからです。

当初は優柔不断にも見えるが、やがて自ら決断を下すキャサリンの姿に、観客は勇気をもらいます。

特に印象的なのは、記者会見や法廷で毅然とした姿勢を見せる場面で、彼女の「声を見つけた瞬間」がスクリーンを通じて伝わってきます。


トム・ハンクス(ベン・ブラッドリー役)

理想に燃える編集主幹を、ユーモアと信念を込めて演じています。

なぜならトムは、ベン・ブラッドリーの「頑固だが信頼されるリーダー像」を巧みに再現しているからです。

根報道の信頼性を守るために記者たちを奮い立たせる姿や、グラハムとの緊張感あるやりとりなど、人間味ある編集者としての魅力が伝わります。

また、当時の新聞社独特の雰囲気や空気感を、自然体で体現している点も見どころです。


その他の注目キャスト

脇を固める俳優陣も実力派ぞろいで、重厚な世界観を支えています。

記者役のボブ・オデンカーク(『ベター・コール・ソウル』で有名)や、政府側のキーパーソンを演じるブルース・グリーンウッドなど、実力派俳優が揃っており、緊迫感のあるドラマを下支えしています。

現実の新聞社の人間模様を感じさせるキャスティングが、作品の信憑性を高めています。


まとめ

  • ベトナム戦争をめぐる政府の隠蔽と報道の自由をテーマに、現代にも通じるメッセージを描く
  • 冷戦下のアメリカと、泥沼化するベトナム戦争の影響が物語の理解に欠かせない要素
  • キャサリン・グラハムの視点から描かれる報道決断の重みは、個人の成長と信念の大切さを強く印象づける
  • 階段や群衆のシーン、タイプ音など象徴的な演出が、無言のメッセージとして物語の主題を深く伝えている
  • スピルバーグ監督による緊張感ある演出と、メリル・ストリープやトム・ハンクスら名優の演技が作品に深みを与えている

本作『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は、単なる歴史映画にとどまらず、報道・言論の自由やリーダーシップの本質を私たちに問いかけてきます。

こうした作品に触れることで、歴史的な知識や教養が自然と身につき、ニュースや社会問題への見方も少しずつ変わっていくはずです。

まずは気になった歴史作品をひとつ選んで、週末の映画時間に取り入れてみてはいかがでしょうか。

教科書だけでは味わえないリアルな「歴史の空気」に触れることで、きっと新しい視点や発見があるはずです。

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