百年以上にわたる激しい戦乱、イングランドとフランスが繰り広げたヨーロッパ史における一大叙事詩「百年戦争」。
騎士たちの誇り、王国の興亡、そして名もなき人々の生き様が交錯するこの時代は、数々のドラマと英雄譚を生み出してきました。
「百年戦争を舞台にした映画やドラマって、一体どんな作品があるんだろう?」
「歴史はちょっと苦手だけど、映像なら楽しみながら学べるかな?」
そんな風に思っていませんか?
この記事では、百年戦争の時代を鮮やかに描き出すおすすめの映画・ドラマ作品を厳選してご紹介します。
史実に基づいた骨太な物語から、大胆なアレンジが光るエンターテインメント作品まで、きっとあなたの心に響く作品が見つかるはず。
さらに、戦争の背景や主要な出来事を分かりやすく解説することで、作品をより深く理解するための基本知識を身に着けることができます。
各作品が描く時代やテーマ、そして国内外のレビュー評価もまとめているので、自分にぴったりの一本を選ぶための心強い味方となるでしょう。
さあ、映画やドラマを通して、壮大な百年戦争の世界を旅してみませんか?
歴史の面白さと感動的な物語が、あなたを待っています。
百年戦争を描いたおすすめ映画・ドラマ

百年戦争という激動の時代を舞台にした映画やドラマは、歴史の重厚さを感じさせつつ、登場人物たちの人間ドラマやスペクタクルな戦闘シーンを通して、私たちを魅了します。
ここでは、百年戦争の様々な側面を描いたおすすめの作品をいくつかご紹介しましょう。
タイトル | 公開年 | 監督 | 時間数(分) |
---|---|---|---|
嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~ | 2012 | ルパート・グールド、リチャード・エアー他 | 2シーズン全7話 |
最後の決闘裁判 | 2021 | リドリー・スコット | 120 |
キング | 2019 | デヴィッド・ミショッド | 183 |
ROCK YOU! [ロック・ユー!] | 2001 | ブライアン・ヘルゲランド | 117 |
ジャンヌ・ダルク | 1999 | リュック・ベッソン | 116 |
嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~
タイトル | 嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~ | ||
原題 | The Hollow Crown | ||
公開年 | 2012年 | ||
制作国 | イギリス | ||
時間 | 2シーズン全7話 | ||
監督 | ルパート・グールド、リチャード・エアー他 | ||
出演 | ベン・ウィショー、ジェレミー・アイアンズ、トム・ヒドルストン他 | ||
動画配信サービス | – | ||
レビューサイト 評価 | 総合評価 | 77.23 | |
国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 3.55 | |
Filmarks | 3.9 | ||
Yahoo!映画 | – | ||
映画.com | 3.2 | ||
海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 83.80 | |
IMDb | 8.2 | ||
METASCORE Metacritic | 89 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 6.8 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 98 | ||
Audience Score RottenTomatoes | 82 |
BBC制作の歴史ドラマシリーズで、シェイクスピアの歴史劇をもとにリチャート2世からリチャード3世までの約100年間のイギリス王室を描いたドラマです。
リチャード2世のプランタジネット朝、ヘンリー4世から始まるランカスター朝、リチャード3世のヨーク朝が終焉するまで、3つの王朝が移り変わる複雑なイギリス王家の歴史を追うことができます。
代々の王ごとにエピソード分けがされており、シーズン1『リチャード二世』、『ヘンリー四世』、『ヘンリー五世』では百年戦争を舞台に描かれています。
この時代を俯瞰しながら、王たちの葛藤、王位継承、内乱といった政治ドラマが重厚に展開されます。
複数の王を描くことで、「なぜ百年戦争が起きたのか」「戦争が終わったあと、何が起きたのか」という流れが立体的に把握できますね。
歴史的背景だけでなく、王たちの内面の葛藤や宮廷内の人間関係に焦点が当てられています。
ベネディクト・カンバーバッチ、トム・ヒドルストン、ジェレミー・アイアンズといったイギリスの有名俳優たちの演技も見ものです。
美術・衣装・演出もハイクオリティで、教養としても映像作品としても大満足!
最後の決闘裁判
タイトル | 最後の決闘裁判 | ||
原題 | The Last Duel | ||
公開年 | 2021年 | ||
制作国 | アメリカ、イギリス | ||
時間 | 152分 | ||
監督 | リドリー・スコット | ||
出演 | マット・デイモン、アダム・ドライバー、ジョディ・カマー | ||
動画配信サービス | Desney+ | ||
レビューサイト 評価 | 総合評価 | 77.23 | |
国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 3.93 | |
Filmarks | 3.9 | ||
Yahoo!映画 | 4.0 | ||
映画.com | 3.9 | ||
海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 75.80 | |
IMDb | 7.3 | ||
METASCORE Metacritic | 67 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 7.3 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 85 | ||
Audience Score RottenTomatoes | 81 |
リドリー・スコット監督による本作は、実際に14世紀のフランスで行われた「決闘裁判」の史実をもとにしています。
騎士同士の名誉をかけた決闘を通して、騎士道精神と、その裏に潜む人間の欲望や感情の複雑さを、息をのむ映像美とともに堪能できる作品です。
被害者、加害者、目撃者それぞれの視点から物語が語られることで、何が真実なのか観る者に問いかけます。
豪華キャストによる演技合戦も見どころ。
ベン・アフレック、マット・デイモン、アダム・ドライバーといった実力派俳優たちが、それぞれのキャラクターの葛藤や信念を力強く表現しています。
この作品の魅力は、「騎士道」「女性の立場」「決闘による裁判」といった中世独特の価値観がリアルに描かれていること。
戦争の最中でも、名誉や家名、性別による差別などがどのように人々の運命を決めていたかが明確になります。
「戦争の英雄たち」だけでなく、名もなき人々や制度に押しつぶされた声なき存在に光を当てた異色の歴史映画です。
中世社会とはいえ、人間についての普遍的な問題を提示する作品になっています。
キング
タイトル | キング | ||
原題 | The King | ||
公開年 | 2019年 | ||
制作国 | アメリカ | ||
時間 | 140分 | ||
監督 | デヴィッド・ミショッド | ||
出演 | ティモシー・シャラメ、ロバート・パティンソン | ||
動画配信サービス | Netflix | ||
レビューサイト 評価 | 総合評価 | 72.90 | |
国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 3.60 | |
Filmarks | 3.6 | ||
Yahoo!映画 | 3.7 | ||
映画.com | 3.5 | ||
海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 73.80 | |
IMDb | 7.3 | ||
METASCORE Metacritic | 62 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 7.8 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 71 | ||
Audience Score RottenTomatoes | 85 |
この作品は、イングランド王ヘンリー5世の即位からフランス遠征までを描いています。
王位に興味を持たなかった青年が、やがて百年戦争の戦場で決断を迫られる姿を通して、「為政者の責任」や「戦争の虚しさ」を深く考えさせられます。
特に1415年のアジャンクールの戦いを再現した戦闘シーンはリアリティが高く、重厚な歴史描写が高く評価されています。
Netflixオリジナルの配信作で、スタイリッシュな映像と現代的な演出の中にも史実を押さえた演出が光ります。
特にティモシー・シャラメ演じるヘンリー5世の葛藤は、「王」と「人間」とのはざまを考えさせられる見どころです。
この作品は戦闘シーンだけでなく、王室内の権力闘争やフランスとの外交戦略のリアルな描写が見どころです。
百年戦争という一大戦争が、単なる「英仏の争い」ではなく、個々の判断や情報戦、陰謀の積み重ねで動いていたことが伝わります。

ROCK YOU! [ロック・ユー!]
タイトル | ROCK YOU! [ロック・ユー!] | ||
原題 | A Knight’s Tale | ||
公開年 | 2001年 | ||
制作国 | アメリカ | ||
時間 | 132分 | ||
監督 | ブライアン・ヘルゲランド | ||
出演 | ヒース・レジャー、マーク・アディ、ルーファス・シーウェル、シャニン・ソサモン、ポール・ベタニー | ||
動画配信サービス | – | ||
レビューサイト 評価 | 総合評価 | 72.40 | |
国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 3.90 | |
Filmarks | 3.7 | ||
Yahoo!映画 | 4.0 | ||
映画.com | 4.0 | ||
海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 66.80 | |
IMDb | 7.0 | ||
METASCORE Metacritic | 56 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 7.0 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 59 | ||
Audience Score RottenTomatoes | 79 |
『ROCK YOU! [ロック・ユー!]』は史実に基づいていないフィクションですが、中世ヨーロッパの騎士文化やトーナメントの雰囲気を軽快に描いています。
百年戦争の時代背景を舞台に、身分を偽った若者が騎士として名声を得る物語です。
堅苦しさのない青春ドラマとして、中世の文化や価値観を楽しみながら学べます。
QUEENやデビッド・ボウイのロック音楽がBGMに使われるなど現代的な演出が魅力で、歴史が苦手な人にも親しみやすい内容なのも特長。
「中世=暗くて退屈」と思っている人にこそ見てほしい、ポップで爽快な歴史エンタメです。
この作品はフィクションながらも、当時の社会構造(貴族と庶民、騎士と従者)や騎士道の名誉に対する考え方をユーモラスに描いています。
歴史の空気を楽しみながら、百年戦争時代の文化の一端に触れるにはぴったりです。
ジャンヌ・ダルク
タイトル | ジャンヌ・ダルク | ||
原題 | Joan of Arc/The Messenger: The Story of Joan of Arc | ||
公開年 | 1999年 | ||
制作国 | アメリカ、イギリス | ||
時間 | 157分 | ||
監督 | リュック・ベッソン | ||
出演 | ミラ・ジョヴォヴィッチ、ジョン・マルコヴィッチ、フェイ・ダナウェイ、ダスティン・ホフマン、ヴァンサン・カッセル | ||
動画配信サービス | U-NEXT | ||
レビューサイト 評価 | 総合評価 | 59.60 | |
国内 レビュー サイト | 国内総合評価 | 3.20 | |
Filmarks | 3.3 | ||
Yahoo!映画 | 3.3 | ||
映画.com | 3.0 | ||
海外 レビュー サイト | 海外総合評価 | 55.20 | |
IMDb | 6.4 | ||
METASCORE Metacritic | 54 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 6.8 | ||
TOMATOMETER RottenTomatoes | 32 | ||
Audience Score RottenTomatoes | 58 |
リュック・ベッソン監督が、フランスの国民的ヒロイン、ジャンヌ・ダルクの生涯を壮大なスケールで描いた作品です。
神の啓示を受け、フランスを救うために立ち上がった少女の信念と、その壮絶な運命をドラマチックに描いています。
ジャンヌ・ダルクの生涯は、百年戦争後期の転換点を象徴しています。
庶民出身の少女が神の声を信じてフランス軍を勝利に導く過程が、迫力とともに描かれます。
特にオルレアンの解放とジャンヌの裁判シーンは、信仰・政治・権力が交錯する複雑さを浮き彫りに。
彼女の狂信とも取れる信仰が、当時のフランス人に与えたインパクトがよく理解できるでしょう。
ミラ・ジョヴォヴィッチが演じるジャンヌの物語は、「なぜ民衆が一人の少女に従ったのか」という問いに対する答えを提示してくれます。
国家よりも宗教が大きな影響力を持っていた時代の空気感が、映像を通して感じられるのも魅力です。
そもそも百年戦争ってどんな戦争?ざっくり流れをチェック

百年戦争の基本情報:イングランド対フランスの王家間の戦争
百年戦争は1337年に始まり、終結は1453年。
実に116年もの長期間にわたりました。
ただし、戦闘がずっと続いていたわけではなく、停戦や講和を挟んだ断続的な戦争でした。
戦争の中心は、イングランド王家とフランス王家の王位・領地争いです。
しかし、そこにはブルゴーニュ公国やフランドル地方など、周辺勢力も絡み、国際的な戦争の様相を呈してきます。
特にブルゴーニュ派とアルマニャック派の対立は、フランス国内を二分する深刻な内戦にまで発展しました。
軍事だけでなく、王族間の婚姻や外交交渉も重要な武器となりました。
例えばヘンリー5世とフランス王女キャサリンの結婚(トロワ条約)などが象徴的です。
これにより一時、イングランド王がフランス王位の後継者と認められることもあったのです。
この長さと複雑さが、今日でも多くの映画・ドラマの題材として取り上げられる理由の一つだと言えるでしょう。

超ざっくり解説すると、
・フランス王国の一領主がイングランド王になり、フランス王位も狙ってきた
・フランス王国内の領土を取ったり取られたり
・フランス内部で内乱が起こり、イングランドや周辺諸国が介入
・ジャンヌ・ダルクの登場で国がまとまりイングランドを追い出す
という流れです。
なぜ戦争が始まったの?百年戦争の背景をひもとく
イングランド王がフランス王位を主張したことがきっかけ
直接のきっかけは、1337年、イングランド王エドワード3世がフランス王位の継承権を主張したことから始まりました。
その背景には、フランス・カペー朝断絶後の王位継承問題があり、エドワード三世の母がフランス王女だったことが関係しています。
フランスではカペー朝が断絶した後、フィリップ6世が即位し、ヴァロワ朝が成立します。
エドワード3世がこれに対して意義を唱えたことが直接のきっかけだと言われています。
毛織物業をめぐる領土的野心も戦争の火種に
イングランドとフランドル(現在のベルギー)との毛織物貿易も、戦争の重要な背景にあります。
フランドル地方は昔から毛織物業が有名で、ヨーロッパ全土へ輸出をする国際商業都市として栄えていました。
しかしその原材料である羊毛は、イギリスから大量に仕入れていました。
材料供給していたイギリスも、やがて自前で毛織物を生産できるようになり、イギリス商人たちは力をつけていきます。
当時イギリスは、フランドル地方も征服して、毛織物業の経済的覇権を独占したいと考えていて、この領土的野心も百年戦争の原因のひとつと言えます。
フランス内部の混乱も戦争を泥沼化させた
14世紀初頭のフランスでは、王家の断絶や貴族同士の権力争いなど、政情が不安定でした。
そこにイングランドがつけ込み、混乱に乗じて軍事行動を起こしたことで戦争が拡大します。
特にアキテーヌ(ギエンヌ)地方の領有権や経済的な利権も争点となりました。
この地方はボルドーという都市を中心に、ワインづくりで有名なところです。
イギリス王国はすでにノルマンディーは手放していましたが、代わりにアキテーヌ地方の領主でもあったのです。
イングランド王国とフランス王国の関係
1066年のノルマン・コンクェストによって、イギリスではウィリアム1世によるノルマン朝が始まりました。
ウィリアム1世は、もともとはフランスの一領主であるノルマンディー公だったのですが、イギリス王国の王位継承をめぐる争いに乗じて、イギリス王国を征服してしまったのです。
つまりイギリス国王は、フランス王国の一領主でもあり、これによって両国の間での領土問題が発生するようになります。
またこれ以降、イギリス王国とフランス王国は関係性を強めることになり、やがて王族同士の姻戚関係を持つことにもなります。
姻戚関係になることは、やがて王位継承権の問題にもつながります。
これらの領土問題と王位継承権の問題が、百年戦争につながる要因となっていくのです。
百年戦争の大きな流れ
前期(1337〜1360年):イングランドの快進撃~フランスの巻き返し
百年戦争前期は主にエドワード3世とその息子・黒太子エドワードが活躍した時代。
ポワティエの戦いなどでフランス軍を大きく破り、広大な領地を獲得しました。
当時のイングランド軍は、長弓兵の戦術によって圧倒的な強さを見せました。
しかしその後、フランスはシャルル5世のもとで軍制改革を進め、徐々に領土を奪還していきます。
ゲリラ戦や経済封鎖など、消耗戦を仕掛ける戦術により、イングランドは徐々に劣勢に。
その後は黒死病(ペスト)の大流行などがあり、小康状態が続き、戦争は政治色を強めていきました。
後期(1415〜1453年):ヘンリー5世の大勝~ジャンヌ・ダルクの登場と戦争の終焉
ヘンリー5世のアジャンクールの戦いで再びイングランドが勢いを取り戻しますが、そこに登場するのがジャンヌ・ダルク。
オルレアンの包囲を突破し、シャルル7世を戴冠させたことでフランスの士気は急上昇。
ジャンヌはイングランドに捕まり、処刑されてしまいますが、シャルル7世の勢いは止まりません。
最終的に1453年、カスティヨンの戦いでイングランドが敗北し、百年戦争は終結します。
この長い戦いは、フランスが勝利することになりました。
百年戦争がヨーロッパに与えた影響
百年戦争は、封建制社会から中央集権国家へと向かう大きな転換点となりました。
イングランドでもフランスでも、百年戦争の軍事の主力は貴族たちでした。
戦争が長引くにつれて、戦費がかさみ経済的に困窮していきます。
この時代には黒死病(ペスト)の大流行によって、ヨーロッパの人口が大幅に減ってしまったことも打撃となります。
このような状況の中、戦費調達のために重税を課す領主たちに農民たちが反乱を起こすように。
フランスではジャックリーの乱、イングランドではワット=タイラーの乱がそれぞれ有名です。
フランスでは特に百年戦争の勝利によって、ますます王権が強まり絶対化していきます。
イングランドでも百年戦争の後に起こる薔薇戦争によって、結果的に同じ流れが起こります。
どちらの国でも貴族の力が弱まり、王による中央集権国家という国家感が形作られていきました。
百年戦争にまつわる年表と関連作品


百年戦争にまつわる年表
年代 | できごと | 王朝 | 内容・説明 |
---|---|---|---|
1066 | ノルマン征服 | イングランド・フランス | ノルマンディー公ウィリアム(征服王)がイングランドを征服し、イングランド王に即位。 |
1154 | プランタジネット朝成立 | イングランド・フランス | アンジュー伯アンリ(ヘンリー2世)がイングランド王となり、アンジュー帝国(プランタジネット朝)成立。 |
1328 | ヴァロワ朝成立 | フランス | フィリップ6世がヴァロワ朝を創始。カペー朝断絶によりフランス王に即位。 |
1337 | 百年戦争勃発 | イングランド・フランス | イングランド王エドワード3世がフランス王位継承権を主張し開戦。 |
1346 | クレシーの戦い | イングランド・フランス | イングランド王エドワード3世と黒太子エドワードが長弓隊を率いてフランス軍を撃破 |
1356 | ポワティエの戦い | イングランド・フランス | 黒太子エドワードがイングランド軍を指揮し、フランス王ジャン2世を捕虜に |
1415 | アジャンクールの戦い | イングランド・フランス | イングランド王ヘンリー5世が長弓隊を率いて圧倒的に優勢なフランス軍を撃破 |
1420 | トロワ条約 | イングランド・フランス | イングランド王ヘンリー5世がフランス王シャルル6世の娘と結婚し、フランス王位継承者となる |
1422 | ヘンリー5世死去、ヘンリー6世即位 | イングランド | ヘンリー5世が死去し、息子ヘンリー6世がイングランド王に即位 |
1429 | ジャンヌ・ダルク、オルレアン解放 | フランス | ジャンヌ・ダルクがフランス軍を鼓舞し、オルレアンを解放 |
1431 | ジャンヌ・ダルク処刑 | フランス | ルーアンの異端審問の結果、火あぶりの刑にかけられる |
1435 | アラスの和約 | フランス | フランス王シャルル7世がブルゴーニュ派と講和し、イングランドとの同盟を破棄 |
1453 | ボルドー陥落、百年戦争終結 | イングランド・フランス | フランス王シャルル7世がボルドーを奪回し、イングランド軍をフランス本土からほぼ駆逐 |
時代ごとに関連する作品
このように、百年戦争は非常に長く複雑です。
一つの作品だけでは、この時代の一部分しか扱っていない場合もあります。
ではそれぞれの時代ごとに、どの作品が関連しているのか、次にまとめてみました。
教養も深まる!作品から学べる百年戦争のポイント


実在の人物と出来事を描いた作品で歴史の目を養う
映画・ドラマでは、ジャンヌ・ダルクやヘンリー5世など実在の人物を中心に物語が展開されます。
実在人物の視点から見ることで、教科書ではつかみにくい時代の空気や人物像が具体的に理解できます。
『嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~』、『キング』、『ジャンヌ・ダルク』などがその代表例です。
偉人たちの行動の背景には、当時の宗教観・社会構造・政治情勢が深く関係しています。
登場人物の台詞や決断をたどることで、その背後にある歴史的文脈が浮かび上がってくるのです。
例えば当時の戦争や処刑といった現代ではなかなかイメージしにくい出来事も、映像化されることで重みと迫力を伴って記憶に残ります。
ジャンヌ・ダルクの裁判や処刑シーンでは、当時の宗教と政治の関係を象徴的に描かれていることが多いです。
視覚と感情で歴史を捉えることで、知識が記憶に残りやすくなるでしょう!
国家と王権
王権の正統性をめぐる争いが戦争の本質
百年戦争は、誰がフランス王位を継ぐべきかという「王権の正統性」をめぐる争いでした。
このテーマは多くの作品で繰り返し描かれ、王位継承をめぐる複雑な政治劇が見どころになります。
百年戦争がはじまったころには、まだ民衆には「国」という概念はなく、あくまで王族や貴族同士の争いでしかありませんでした。
王の役割と国家意識の芽生えが表現されている
戦争の過程で、王は単なる貴族から「国を代表する存在」へと変化します。
民衆や貴族の支持を得るための言動や、国を一つにまとめるための政策が作品に反映されています。
この変化は、封建制から絶対王政への移行を象徴するテーマのひとつです。
時代はまだ封建制度の中で、人々が「国」という概念を持つのはまだしばらく先のことですが、ジャンヌ・ダルクの登場くらいからナショナリズムのはじまりが見て取れます。
フランス・イングランド両国の視点が比較できる
複数の作品を見比べることで、フランスとイングランドそれぞれの立場や王権に対する考え方の違いが浮かび上がります。
例えば『キング』と『ジャンヌ・ダルク』では、王の理想像や戦争の動機がまったく異なります。
多面的な視点で歴史を考える力が養われます。
騎士道と戦術
騎士道精神と現実の戦争とのギャップが学べる
中世の戦争といえば「騎士道」が象徴されますが、実際には理想と現実の乖離が顕著でした。
作品では、高貴な騎士の姿と、戦争の残酷さ・政治的駆け引きが対比されて描かれています。
『ROCK YOU! [ロック・ユー!]』や『キング』では、騎士道の幻想とそれを裏切る現実がテーマになっています。
長弓兵など当時の戦術が視覚的に理解できる
百年戦争は戦術面でも大きな転換期にあたり、イングランド長弓兵の活躍がフランスを苦しめます。
『キング』のアジャンクールの戦いの再現など、映像で見ることでその革新性が伝わってきます。
こうした描写は、軍事史に興味を持つ入り口にもなります。
中世ヨーロッパの戦争観が映し出される
戦争を「神の意志」ととらえる宗教的価値観や、名誉のために戦うという思想が色濃く残る時代です。
こうした思想が作品のキャラクターや物語の展開に色濃く影響を与えています。
『最後の決闘裁判』では、名誉と正義をかけた決闘という制度がリアルに描かれています。
宗教と民衆
宗教は政治と密接に結びついていた
当時のヨーロッパでは、宗教は人々の生活と切り離せず、政治的な正統性を裏付ける力でもありました。
ジャンヌ・ダルクは神の声を聞いたと主張し、宗教的存在としてフランス国王の戴冠に導きます。
その姿は『ジャンヌ・ダルク』や『嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~』で象徴的に描かれています。
教養としての「宗教の役割」を映像で実感できる
中世の宗教が果たした役割や民衆の信仰心などは、言葉では理解しづらい要素です。
映画やドラマでは、それらが日常や戦争とどう関わっていたかを直感的に理解できます。
とくにジャンヌの処刑を描く場面では、宗教と権力の衝突が強烈な印象を残します。
国内外レビューサイトの評価まとめ


ここでは、百年戦争を題材にした主要作品について、国内外のレビューサイトでの評価を比較してご紹介します。
作品選びの参考にどうぞ!
国内外で総合評価が高い作品TOP3
国内外の映画レビューサイトでの評価を集計、ランキング化した結果、トップ3は次のようになりました。
順位 | タイトル | 国内レビュー 総合評価 | 海外レビュー 総合評価 | 国内・海外 レビュー総合 |
---|---|---|---|---|
1位 | 嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~ | 3.55 | 83.80 | 77.40 |
2位 | 最後の決闘裁判 | 3.93 | 75.80 | 77.23 |
3位 | キング | 3.60 | 73.80 | 72.90 |
僅差でしたが連続ドラマ作品の『嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~』が1位になりました。
シェークスピア原作という点もポイントですが、イングランド王家の歴史を一気に理解できる点などが評価されているようですね。
わずかな差でリドリー・スコット監督の『最後の決闘裁判』が2位につけています。
やはり名監督の作品ということで手堅く評価は高いです。
国内レビューサイトで評価が高い作品TOP3
日本国内で評価が高い作品のトップ3は次の通りです。
順位 | タイトル | Filmarks | Yahoo!映画 | 映画.com | 国内レビュー 総合評価 |
---|---|---|---|---|---|
1位 | 最後の決闘裁判 | 3.9 | 4.0 | 3.9 | 3.93 |
2位 | ROCK YOU! [ロック・ユー!] | 3.7 | 4.0 | 4.0 | 3.90 |
3位 | キング | 3.6 | 3.7 | 3.5 | 3.60 |
なんと『ROCK YOU! [ロック・ユー!]』がいきなり2位にランクインしています。
日本人にも耳なじみのある洋楽ロックミュージックがBGMとして使われていて、歴史を知らなくても楽しめる作品です。
そんな部分が日本人好みなのかもしれませんね!
海外レビューサイトで評価が高い作品TOP3
海外で評価が高い作品のトップ3は次の通りです。
順位 | タイトル | IMDb | Metacritic METASCORE | Metacritic USER Score | RottenTomatoes TOMATOMETER | RottenTomatoes Audience Score | 海外レビュー 総合評価 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1位 | 嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~ | 8.2 | 89 | 6.8 | 98 | 82 | 83.80 |
2位 | 最後の決闘裁判 | 7.3 | 67 | 7.3 | 85 | 81 | 75.80 |
3位 | キング | 7.3 | 62 | 7.8 | 71 | 85 | 73.80 |
ランキングの結果は、国内外の総合評価と同じです。
3位につけている『キング』も、作品としての評価は高く、根強いファンも多いようです。
自分にピッタリの作品を見つけよう!目的別おすすめ


とはいえ、どの作品から見ればいいのか、なかなか悩みどころですよね?
ここでは次のようにどんな目的で作品を探しているか、タイプ別におすすめの作品を紹介します!
歴史の流れを把握したいあなたへ
おすすめ作品
この作品は、百年戦争の主要人物や時代背景を俯瞰して理解しやすい構成になっています。
戦争の発端から終盤までをドラマティックに描いており、歴史の流れをつかむ入門に適しています。
この作品は特に、イングランド王室の血統争いと王権の移り変わりがわかりやすく整理されているのが特長。
FilmarksやIMDbのレビューでも、「百年戦争の全体像がつかめた」「教科書で読んだ知識が映像で整理された」という声が多く寄せられています。
「誰が何のために戦ったのか」「その結果どう変化したのか」が描かれており、歴史の因果関係が見えやすい。
セリフやナレーションを通じて背景が丁寧に説明されるので、知識がなくても理解がすすむ。
英雄の生き様を見たいあなたへ
これらの作品は、歴史に名を刻んだ人物たちの信念や葛藤、成長を深く描いています。
英雄として語り継がれる人物が、いかにしてその立場に至ったのかを描くことで、時代背景と個人の物語が重なります。
『キング』ではティモシー・シャラメの繊細な演技に注目が集まり、「王になる重さ」に共感する声が多数。
『ジャンヌ・ダルク』は神と使命に生きた女性の苦悩が印象的です。
偉人の生き様を通して、歴史上の人物の思想や行動をたどっていくのも、教養を深める良いきっかけになりますね。
人間ドラマを通して歴史に入り込めるため、「感情移入しながら学ぶ」ことができる。
戦争を動かした人物に焦点を当てることで、歴史上の事件をまるで体感しているように感じられる。
当時の文化や生活に触れたいあなたへ
おすすめ作品
- 『最後の決闘裁判』
この作品は、時代検証が精密に行われており、当時の服装・建築・言葉づかいや、社会のあり方が丁寧に描かれています。
戦場や王室、貴族だけでなく庶民や修道院など、さまざまな階層の人々の暮らしが見えるのが特徴です。
レビューサイトの評価でも、女性の生きづらさと宗教的圧力がリアルに描かれ、「時代の空気を感じた」と評されています。
台詞や演出よりも、映像美や美術セットが「その時代にいるような感覚」を与えてくれる。
戦争以外の面から中世社会を知りたい人にぴったり。
手に汗握るアクションを楽しみたいあなたへ
おすすめ作品
アクション重視の方には、迫力ある戦闘シーンや決闘描写に定評の『ROCK YOU! [ロック・ユー!]』がおすすめです。
ロック音楽とともに迫力ある騎馬戦やトーナメントシーンが軽快で純粋に楽しめます。
IMDbや日本のレビューでも「アクションが見応えある」「何も考えず楽しめる」と高評価の声が多数。
戦術や武器の使い方など、ディテールを見ているだけで興味をそそられるという意見も多くあります。
特にアクションや決闘シーンは現代の撮影技術で再現されており、見応えがある。
「歴史に詳しくなくても純粋に楽しめる」というのが最大の魅力。
まとめ:映画・ドラマを通して、百年戦争を身近に感じよう!


まとめ
- 百年戦争を題材にした映画・ドラマは、歴史の流れや人物像をリアルに体感できる貴重な教材
- 「キング」「ジャンヌ・ダルク」など、実在の英雄や戦いを描いた作品で、時代背景を直感的に理解できる
- 百年戦争は王位継承争いを発端とし、約116年にわたって続いた英仏間の複雑な戦争
- 映画からは王権、騎士道、宗教、民衆など、教科書だけではつかみにくい歴史の本質も学べる
- 歴史の流れや関心に合わせて自分にぴったりの作品を選べば、楽しみながら教養を深めることができる
文字情報だけでは想像しにくい戦場の緊張感、王たちの葛藤、民衆の暮らし。
こうした歴史の息づかいを、映画やドラマは豊かに伝えてくれます。
今回紹介した作品はいずれも、史実をもとにしつつ、観る人を物語へ引き込む魅力にあふれています。
気になる作品があったら、まずは一本観てみることから始めてみましょう。
映像を通して触れる歴史は、知識として定着しやすく、会話や発想の幅も広がります。
「面白そう!」という好奇心から始まった学びが、やがてあなたの教養となり、自信となって日常に活きてくるはずです。
映画やドラマで、楽しく、深く、百年戦争の世界へ踏み出してみませんか?
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